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◆◆今月の井上さん〜
お好みクアラ・ルンプール寄席◆◆
またまたマレーシアが世界を騒がせている。9月1日に突然発表、即日公布された「変動相場制への移行」を含めた数々の外貨規制。対米ドル為替レートは1US$=RM3.8にフィックスされ、マレーシア国外でリンギットの通貨価値が事実上消滅してしまった。これはビジネスのみならず、マレーシアに住み、リンギットで所得を受けている私達にはちょっとした大事件であり、マレーシア国内で外貨に換金して"外"に出ないことにはリンギットでは何もできないという事になる。あまりに突然の公布だった為にマレーシア国内は未だ混乱しており、両替商が手持ち外貨を手放したがらない為に、KL国際空港内ですら外貨に充分な換金ができない状況となっている。
実は私自身もこうしてキーを叩いている今、それが現実問題として降りかかっている。昨日からシンガポールに出張しているが、KL国際空港でリンギットをシンガポールドルに交換できなかった。仕方なく飛行機に飛び乗ったものの、前回残していた100S$(約8千円)程のキャッシュと、役に立たないリンギットしか財布に入っていない。もちろんシンガポールではリンギットの交換など受けてくれる所はないので、残り少ないキャッシュをタクシー代にまわし、コーヒー一杯でもカードで精算するという何とも不便で淋しい出張を強いられている。
しかしながら、マレーシアへの観光客、出張者に関して言えば、外貨の持ち込み制限もなく、外貨からリンギットへの換金は全く問題ないので大きな支障はないでしょう。ただ、必要以上にリンギットに交換してしまうと、円に戻す時に苦労するかもしれませんので気をつけた方がいいですね。
何だかマレーシアの"近況"に触れながら書き出そうとすると、ついつい重苦しい話になってしまうのは私のせいではありませんよ。(笑)本当はパ〜っとした明るい話をしたいのですが、どうも景気の悪い話が多くていけませんね。そんな愚痴をこぼしていても仕方ないので、話題を大きく変えましょう。
マレーシアでは衛星放送(有料)で昨年からNHKが一日数時間だけ日本の番組を提供しているが、普段TVやラジオ等のメディアから日本語が流れてくるという事はほとんどない。CD等で日本の歌を聞く機会はそれなりにあるものの、日本語という言葉そのものに無意識に触れる機会はとても少ない。そんな環境の中で私は『落語』をよく聞く。日本語という言葉の文化をより大事に受け止めるからかななんて自分では解釈しているが、海外で聞く落語というのは実に新鮮なものに感じられる。
私が落語好きになったきっかけははかれこれ20年近く前にさかのぼる。友人に誘われて初めて行った霞ヶ関の飯野ホールで三遊亭圓生の『死に神』を見た。後で知ったが、このネタは故圓生師匠の十八番中の十八番。それまでは落語というと一人でやる漫談みたいなものくらいにしか捉えていなかった私だったが、その高座で見聞きした圓生の『死に神』は正に"演劇"を思わせるような「芸術作品」そのもの。その驚きと共に落語の魅力に魅せられてしまった私は、その後機会ある毎に好きな落語家、ネタを求めてはセッセと高座に足を運んでいた。
海外に出てからは、日本に帰る度に落語CDを仕入れては車の中で聞いている。「車の中で落語〜!?」なんてオジンくさいと笑われるかもしれないが、音楽CD等の合間にかける落語というのも結構いいんだな、これが。灼熱の太陽の下、椰子林の合間を駆け抜ける車の中を流れる『志ん生』なんて、ちょっと乙でしょ。(笑)
こんな落語好きがワクワクするイベントが9月末に行われる。あの『笑点』でお馴染みの桂歌丸師匠がお弟子の歌若さんと共にクアラルンプールでやってくる。こういう興行的なものは本当に少ないので、会場は間違いなく日本人で『満員御礼』となる。空母を訪れるバニーガールの慰安興行みたいなもの(例えが悪すぎる?!)なのかも。
そんな事がきっかけでネット上を探ってみると、予想以上に落語通が泣けるようなサイトがしっかりあるじゃないですか〜!! まずは今回KLにお目見えする桂歌若さんの<桂歌若ホームページ>。メールを送ったところ、ちゃんとご返事もいただきました。この場を借りて「ありがとう!!」を改めて。
<落語検索エンジン『ご隠居』>は、ネタの一部をキーワードとして検索する「根多データベース」、入力した文書を江戸っ子弁に変換する文書変換「江戸っ子」など、落語好きのみならず、大いに楽しめ、笑わせてくれる。笑い、ウケのつぼを心得ているなぁと感心してしまうサイト。
私も大ファンの志ん生の事なら何でもござれっていうのが<APP部屋>なるHP。志ん生の高座がショックウェイブで聞ける「うぇぶ寄席」、志ん生を語るエッセイ「しっちゃかめっちゃか志ん生」などファン必見の泣かせるサイト。ネット上で志ん生の『千早ふる...』が聞けるとは驚きました。
<落語に関する本>には、落語関連の本にまつわる検索エンジン、東西落語家系図が紹介されており、<落語三昧>では、音源データとして桂文樂、三遊亭圓生の高座がネタ毎にファイルされていて、そのデータベースはまさに圧巻。
また、実際の高座をテキスト化してしまった凄いサイトもある。<東西落語特選>では、実際には30分程の噺を完全に文章化して発信している。ただただその根性に頭が下がるばかり。本来、落語は聞くものであり、できることなら高座を目で見て、噺家の表情を楽しむ演劇に近いものだと思う。でも、この文章化されたものもこれはこれで噺家の顔を浮かべながら読んでいると面白いものだ。実際の高座に足を運ぶ機会がない私達には嬉しい"本箱"となっている。
インターネットで実際の高座を聞けるなんて、面白い時代になったなぁなんて変に感心しているとまた年寄り扱いされてしまうが、"好きな物"をこういう形でどこにいても手に入れる事ができるのは正にネットサーファーの特権でしょう。
さてさて、もうすぐ4年ぶりに生の落語を聞けるとワクワクしている私。歌丸師匠〜、「座布団10枚持ってこ〜い!!」ってな極上ネタを期待してまーす。
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